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フィリピン・ボランティア・スタディ・ツアーの報告

年明けの1月4日から13日にかけて、6年ぶりとなるフィリピン・ボランティア・スタディ・ツアーが実施されました。最後に実施されたのは2018年度で、直後にコロナ渦となり、シャルトル聖修道女会が母体である姉妹校、セイント・ポール・カレッジ・パッシグ校(SPCP)との交流も途絶えていました。長い時間があいただけに、フィリピンでの大きな変化も感じられる充実した研修となりました。

日本でも、コロナ渦により、多くの学校でオンライン授業や設備のICT化が推進されましたが、それはフィリピンでも同じだったようです。SPCPでは、電子黒板の設置だけでなく、図書館のエントランスに顔認証機能のついたゲートが設置されていたり、3Dプリンターを校内の一室に設置したりするなど、非常に近代化された設備が目につきました。

他方で、スラム地域で生活しているコミュニティの人々や、観光地で物乞いをしている子供達の姿なども見られ、経済的に発展するフィリピンの光と闇の部分を見ることのできた研修でもありました。語学の学習だけでなく、こうした社会の現実を実際に目で見て、考えることのできる研修が、高校で復活したことを大変嬉しく思います。次年度の5月には、今度はSPCPの留学生を本校で受け入れる予定となっております。このプログラムが今後一層活発化し、本校の国際教育がより活気あるものとなることを願っています。 (国際教育委員会 米澤 光也)

下記に、高Ⅱ加藤さんの感想を掲載します。

私はフィリピン・ボランティア・スタディツアーに行き、日本とは違う文化や価値観を体験し、学ぶことが出来ました。1番衝撃を受けたのはトイレの紙を流せないことです。日本では当たり前のようにできることが出来ない、しかも衛生的にも不安な所もありました。しかし、数日間そのような生活をする事でこのような貴重な体験も外国の一つの文化だと私は思いました。

フィリピンでは私が想像している以上に貧困の差が激しいと言うことがとても理解できました。まず、街中の様子を見ると道の隅に体育座りになっている人やダンボールを床に敷いて横になっている人や、政府の支援が届かなく教育、住む所などが十分に無い人達が視線を移す度に見られました。日本のように皆んなが教育を受けられる環境、頑丈な家があるような国とは全く異なることが私は胸が苦しめられるような感覚に襲われました。この人達はどうやってこれから生活していくのだろうかなど考えても私には想像が難しかったです。フィリピンのとても激しい貧困状態の中でお金に裕福な人たちはそのような普通の生活が送れることが難しい人達を見てどう思っているのか、私は気になっていましたがホストファミリーには聞く勇気がありませんでした。なぜなら、私のホストファミリーにはお手伝いさんのような人が3人、家に住んでいるからです。3人中2人は女性で、ご飯や洗濯、ベットシーツを綺麗に畳んでくれてくれました。いつも私に笑顔で優しい人でしたが、あまり話さなく家族でご飯を食べている時はキッチンから離れないでいました。もう1人は男性で、学校の送り迎えやお出かけする時、必ず運転をしてくれました。重い荷物も持ってくれたりと、申し訳ない気持ちになりました。その3人がどのような関係でホストファミリーのお手伝いをしているのかは全くわかりませんし、ホストマザーにも聞けませんでした。自分が生活する分には良いかもしれませんが、私はあまりお手伝いさんがいる家には居たくないと思いながらも10日間過ごしていました。

少し傷ついた事もありました。遊園地で遊んでいた時に私の顔を見て「Chinese」と嫌味を感じるように言われました。私は一瞬何が起こったのかなんでそんなことを言ったのか全くわかりませんでしたが、少し考えてみるとこれはもしかしたら差別なのかと思いました。日本では外国人のことは差別すると言うより良い意味で捉えられることが多いと私自身も思っていますし、実際にそうだと思います。考えれば考えるほど差別されたのは傷つきますがこれも一つの貴重な経験として心に留めておきたいと感じました。

少し困ったことは家や建物にはよく虫がいることです。部屋の中に蟻がいることは普通ですし、よく飲食店にコバエがいることなど少し良い気持ちではありませんでした。フィリピンはとても暑いと聞いていたので私は半袖でモールや学校に行くと、ほとんどの人が長袖を着ていたのが驚きました。ほとんどの建物は冷房が効きすぎていてとても寒い程でした。私はあまりに激しい温度差に少し喉が痛くなりました。色々な大変なこと、慣れないこと、面白かったこと、衝撃的なことなど全て新鮮な気持ちでフィリピン生活を送ることが出来ました。こう言う体験は本当に貴重な経験だと私は誇りに思い、見たこと、聞いたことを心に留め、私たちとは異なる生活を送っている人々がたくさんいると言うことを学び、これからの考え方について繋げて行きたいです。